そっと見守り導いてくれる先生

甲南女子の生徒が先生に素朴な疑問から普段聞けないことまで何でも質問してみる「先生と私」のコーナー。第2回は理科担当の谷口先生にインタビュー。先生を目指したきっかけは?生徒のことをどう思っている?10年以上甲南女子で教鞭をふるう先生の本音に迫ります。

谷口博昭先生(理科)/ 小林紗也さん(中学1年生)/ 関戸優衣さん(中学1年生)※インタビュー当時の在籍学年です。

指示待ちではなく自ら考えること

関戸さん 素朴な疑問なんですが、谷口先生ってどうして先生になられたんですか?

谷口先生 理由はいろいろあるけど、やっぱり自分自身が学生の頃に関わった先生方が素敵でその姿に憧れたのが教師を目指したいちばんのきっかけですね。中学2年と3年の頃に担任だった先生は結構コワモテの先生で、一見すると近寄りがたいんだけど、生徒のことをすごく良く見てくれていて。保護者面談で親と話している時も、当時の僕の性格や悩みを見透かしたようにいろいろとアドバイスをくれて「あ、この先生は信じられるな」と子供ながらに感じていましたね。この先生とはいまでも連絡を取り合う関係が続いています。他にも、高専時代の部活顧問の先生は生きていくうえで大切なことを日々の学校生活のなかで細かく指導してくれる方でした。「指示待ち人間になるな」という教えがとても印象に残っていて、教師になった僕のひとつの指針にもなっています。

小林さん 素敵ですね!谷口先生は直接は口にしませんが「生徒が指示待ちにならずに自分で考える」ように生徒指導や授業でも工夫されている気がします。

谷口先生 そうだね。こちらから先回りして正解を教えたり、効率的な方法を伝える方がもちろん簡単だけど、それじゃあ自分で考えたり工夫する楽しさや力が身につかないと思うから。だからあえて口をはさまずにそっと見守るようにしています。ちょっと変かもしれないけど、ホームルームや学級活動でクラスで話し合いが必要な時に、あえて廊下に出て教室を眺めるのが好きなんだ。そうすると、生徒一人ひとりの活躍が見えてくる。普段おとなしい生徒も頑張って参加しようとしていたり、逆に議論を主導する生徒がいつも決まっていてなんとなくみんなが納得していなかったり。結局、予定より時間がかかることもあるし、最終的に意見がまとまらないことだってある。けれど、そんな経験や失敗があってはじめて、自分たちでより良い方法を模索できるし、他の人の意見に耳を傾けて理解し合おうと努力できると思うんです。そうやって自ら考え動く生徒をフォローをするのが教師のいちばんの役目だと僕は考えています。

関戸さん そこまで考えてくださっていたんですね。私ももっと自分で考えて友達と意見交換できるように頑張ろうと思います。ちなみに、谷口先生ってお子さんがいらっしゃいましたよね?自分の子供にも私たちと同じように自分で考えるように伝えているのですか。

谷口先生 それが全然できてない!我が子となるとどうも客観的になれなくて、すぐに怒るし文句を言っちゃう。あまりみんなに偉そうに言えないね(苦笑)小学生・幼児2人ずつの4人子供がいるんだけど、年齢によって全然違うから、どうしてもね。

小林さん 4人も!それは賑やかそうですね!先生のプライベートってあまり想像できないけど、どんな毎日を過ごしていますか?勝手なイメージだけど、なんとなく料理が得意そう。

谷口先生 休みの日は子供たちを連れて遊具のある大きめの公園に出かけることが多いかな。料理はどちらかというと後片付け係です(笑)でも、ハマると結構突き詰めるタイプかも。最近は牛すじ煮込みに凝っていて、理想の味を目指してトライ&エラーをくりかえしています。少し前は小学生の子供の朝ごはん用に蒸しパン作りにはまっていました。

関戸さん なんとなく想像できます!(笑)

全員が主役になれるのが甲南女子

関戸さん 甲南女子の教師になられて結構長いとうかがったんですが、谷口先生から見て甲南女子ってどんな学校ですか?

谷口先生 甲南女子に赴任してからは11年くらいかな。その前は5年ほど共学校の教師をしていました。甲南女子らしさっていろいろありますが、ひとつは教師と生徒の関係性が素敵だと思います。僕の目からみても教師と生徒の距離が本当に近いと感じますね。中学高校関係なく勉強の質問や行事の相談で職員室に生徒が来るのは日常だし、卒業生もふらっと学校に顔を出しに来てくれたり。僕自身、はじめて甲南女子に来た時に受け持った69回生の生徒から「クラス会をしました」や「就職して3年経ちました」なんてたまに連絡をもらうことがあって、その度に嬉しく感じます。

小林さん それは結構生徒みんな思っているし、よく話にも出ますよ。先生方がすごく親身だし話しやすいのは私たちも嬉しいです。

谷口先生 あとは、女子校ならではかもしれないけど、和光会しかり女子が積極的に前に立って活躍できる環境かな。共学校の場合は、もちろんリーダーシップのある女子生徒もいたけれど、最終的に主張したり目立って行動するのってどうしても男子生徒が多かった。でも、甲南女子は本当にみんなが主役って感じがする。なんでもフラットに言い合っているし、行事にも全力で取り組んでいる姿は見ていて頼もしい限りです。

小林さん 私もそれは甲南女子の大きな魅力だと思います。

生徒と共に学び続けていきたい

関戸さん さきほど「生徒が自分で考えるように見守る」っておっしゃっていましたが、他に谷口先生が授業で心がけていることってありますか?

谷口先生 いちばん心がけているのは自分も勉強を続けることかな。どの教科もそうだと思うけど、ただ教科書をなぞるだけの授業や、解き方を教えられるだけの授業って退屈じゃない。僕の役割はみんなに楽しみながら教科や単元に興味を持ってもらうこと。そのうえで、生徒のみんなが主体的に学ぶサポートをしたいと考えています。だからこそ、教科書に載っていない内容や、ときに雑談も交えながら話を広げることで、もっと知りたい、勉強したいと思ってもらえるように工夫しています。そのためには、僕自身が授業の進め方や話題の広め方を日々考えて実践する必要がある。みんなと一緒に僕も日々勉強しているんですよ。

小林さん ありがとうございます!私も先生に負けないように、自主的に楽しく勉強したいと思います。